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Orgelsonate Nr.6 in es-moll, op.119

オルガンソナタ第6番 変ホ短調 作品119

Preludio Intermezzo; Marcia Religiosa; Fuga


第三楽章 Marcia religiosa / via Carus 50238 P.93
第三楽章 Marcia religiosa / via Carus 50238 P.93
via BSB Mus.ms. 4591
via BSB Mus.ms. 4591

 『オルガンソナタ 第6番 変ホ短調 作品119』は1880年の聖霊降臨祭の週に作曲されたとみられ、5月26日に午後1時に完成している。出版は同年10月にライプツィヒのキストナーから行われた。

 

 ラインベルガーはこのソナタから従来の楽章構成を、(その後全てのソナタが4楽章ではないが)3楽章から4楽章に改め、ここからひとつのターニングであることがうかがえる。

 

 オルガンソナタ6番から10番を作曲したは1880年から1886年にかけては、ラインベルガーが特に熱烈にオルガンに注いだ創作時期になっている。特に6~8番は81年-82年に定期的に年1作作られ、つづく9番-15番は85年から91年にかけて毎年1作のペースで作曲された。 作品のスケールを増大させ、その次元をベートーヴェンに代表される交響曲まで引き上げようとしている。ラインベルガー本人は作品タイトルで「ソナタ」という題名を続けていたが、彼の試みは、フランスの同時代オルガン作曲家、ヴィドールやヴィエルヌなどフランス交響曲楽派の「オルガン交響曲」に影響を与えている。(オルガン交響曲楽派はオルガンの中にすべてを詰め込もうとしたが、ラインベルガーは管楽器とのアンサンブルや、オルガンソナタ8番のパッサカリアや作品167の8番による哀悼行進曲のように、オルガンさらに開放している)

 

 4楽章構成の交響曲の第三楽章を想定している「スケルツォ」は「Marcia religiosa(宗教的行進曲)」に置き換えられている。これは19世紀のオルガンソナタの中間楽章は性格的作品の傾向を帯びていることに端を発している。変ホ長調の最終楽章「Fuga フーガ」はほかのオルガンソナタも含め、もっとも短かく簡潔に書かれ、134小節目でぃらいマックスに達する。145小節目から第一楽章冒頭部を20小節で再現し、静かにピアノ-ピアニッシモで終わる。

 

 この6番もほかのオルガンソナタ同様に、ピアノ四手連弾バージョンが作られている。連弾バージョンの直筆原稿は失われているため、作成の正確な日付はわからないが、原曲完成直後に作成されたことは想像に難くなく、原曲と同時にキストナーに送られたと思われる。原稿料として「希望の300マルク」が支払われている。連弾バージョンも原曲同様から1880年10月に発売された