Sanctus & Benedictusの osanna 終了


ラインベルガーが作曲したミサ曲の癖について簡単に触れます。

 

 一般的合唱愛好者にはピンと来ないかもしれません。WebMasterもラインベルガーを調べるまでは全くわかりませんでした。これはクリスチャンであろうとそうでなかろうと、あまり目くじらを立てる必要性はないかも知りません。今日ではミサ通常文をラテン語で歌うという事はコンサート以外ではほとんどないと言っていいしょうから、些末なことと思うかもしれません。ですが、彼の特徴としてとらえてください。SanctusおよびBenedictusのテキストの扱いについて簡単に述べます。結部の「Osanna in excelsis.」をどう扱っているかです。

 

 本来SanctusおよびBenedictusは「Osanna (Hosanna) in excelsis.」で歌い終わらなければいけません。ですが、なぜかラインベルガーにはこのお約束を無視しているミサ曲がいくつかあります。1件例外があるのでちょっと困るのですが、なぜかSanctusとBenedictusを「osanna.」という単語で締めくくるものがあります。しかもすべてではなく、半分ぐらいはどちらか片方だけだっりします。両方とも「Osanna in excelsis.」で締めくくっているものもあります。その基準はわかりません。作曲上の必然性辺りでしょうか?

一番有名な『ミサ曲 変ホ長調 op.109 "Cantus Missae"』のSanctus結部
一番有名な『ミサ曲 変ホ長調 op.109 "Cantus Missae"』のSanctus結部

 自身カトリック教徒であり、幼少の頃よりカトリック音楽に接し、「教会音楽こそ本分」的な発言をしていた彼ですが、ラテン語そのものと宗教音楽におけるレギュレーションをよくわかっていなかった節があります。ゆえに総ドイツセシリア協会から「ラインベルガーの宗教曲は典礼にふさわしくない」と再三にわたってクレームがつけられれていました。特にドイツ・オーストリアにて論争を引き起こした『ヘ短調のミサ曲 作品159』は単語の欠落は見当たりませんでしたが、Benedictusのみ「osanna.」で終わらせています(つまりSanctusは「Osanna in excelsis.」で終わっている)。ゆえに該当箇所は仇敵ともいえる総ドイツセシリア協会による大非難の要素の一つとなります。

 

 今日日本人たる私たち、しかも非クリスチャンがラインベルガーを歌ってみて、「だからそれがなんなの? 何か問題があるの?」と思うかもしれません。WebMasterも今ひとつピンときていません。でもちょっとだけでも心の片隅に入れておいても損はないと思います。

 

Sanctusがosannaで終わるもの

62、109、126、155

(op.84はgloria tua.で終わるのでまったく別パターンとなる)

 

Benedictusがosannaで終わるもの

60、109、159、197

 

なお作品197のSanctusとBenedictusは弟子のLouis Adolphe Coerneの手によるものです。

これは『レクイエム 変ホ長調 op.84』のSanctus。”gloria tua”で終了している
これは『レクイエム 変ホ長調 op.84』のSanctus。”gloria tua”で終了している
レクイエム op.60のBenedictus
レクイエム op.60のBenedictus

op.60 - Requiem

Benedictus - Osanna 終了

 

op.62

Sanctus - Osanna 終了

 

op.83

両者通常終了

 

この曲またパターンが違う

op.84 - Requiem

Sanctus - (gloria tua.にて終了)

 

op.109

Sanctus - Osanna 終了

Benedictus - Osanna 終了

 

op.117

両者通常終了

 

op.126

Sanctus - Osanna 終了

 

op.151

両者通常終了 

 

op.155

Sanctus - Osanna 終了

 

op.159

Benedictus - Osanna 終了

 

op.169

両者通常終了

 

op.172

両者通常終了

 

op.187

両者通常終了 

 

op.190

両者通常終了

 

op.192

両者通常終了

 

op.194 - Requiem

Sanctus - Osanna 終了