三省堂『クラシック音楽作品名辞典 第3版』

※本項に関しましては三省堂さんと連絡がつきましたので、精査の上将来的に次の版で修正されるかもしれません

三省堂『クラシック音楽作品名辞典 第3版』P985
三省堂『クラシック音楽作品名辞典 第3版』P985

 三省堂『クラシック音楽作品名辞典 第3版』(2009年6月15日 第1刷発行)という辞典がありまして、ま~、いろいろ重宝するのですが、P985右半分から986左半分弱(正味1ページ弱)にかけてラインベルガーの作品が紹介されます。「オルガンソナタ#4 サブタイトルの話」や「オルガンソナタ#7の項目」にも書いていますが、少々間違いがあります。この2点ぐらいならまだいいのですが、さらにおかしな点がありますのでここは一つ逆引き的に新しい項をもうけなければどうにもならいと判断いたしました。

 

 いやこの辞典ラインベルガーに関しては間違いが多すぎますので、信用するべきではありません。ちょっとこれはひどいです。

 

 だいたいこの作品の羅列もどうかなと思います。オルガンソナタ全曲掲載する必要があるのでしょうか? 副題のついた4曲と4番、7番、8番で十分でしょう(いや一番人気の4、7、8で十分かも)。また『3つの宗教的歌 作品69』ではなく『5つの讃歌 作品140』を載せているのもちょっと見識を疑いますね。ほかにもピアノソナタや交響曲、声楽作品を載せるべきだと思います。

 

同辞典を参照する場合は、以下の点にお気をつけください。もし他にお気づきの方はお知らせください。

三省堂『クラシック音楽作品名辞典 第3版』P986
三省堂『クラシック音楽作品名辞典 第3版』P986


あっ、ファーストネームのスペルも間違っていますね。各曲の解説ばかりに目がいってきづいていませんでした

●2023/05/18 1件「[7]」を追加しました。あと、出身国が「独」と間違っていますね。


オルガン・ソナタ第3番と第4番
オルガン・ソナタ第3番と第4番

[1]

P.985

 

オルガン・ソナタ第3番

誤)(副題)「第8旋法による」

正)(副題)「Pastoral」

 

 

[2]

オルガン・ソナタ第4番

誤)(副題)「第9旋法による」

正)副題そのものがありません

 

※オルガンソナタ3番と4番に関しては「オルガンソナタ#4 サブタイトルの話」をご覧ください。

オルガン・ソナタ第7番
オルガン・ソナタ第7番

 [3]

 

オルガン・ソナタ第7番

誤)『◆第2楽章はフルート(またはオーボエ)、オルガン用の「ラプソディ」Rhapsodieに編曲。』

正)『◆第2楽章はオーボエ(またはヴァイオリン)、オルガン用の「ラプソディ」Rhapsodieに編曲。』

 

※オルガンソナタ7番に関しては「オルガンソナタ第7番 ヘ短調 作品127」をご覧ください。

12の性格的小品 op.156
12の性格的小品 op.156

[4]

P.986

 

12の性格的小品 op.156

誤)6.幻想曲 Fantasie

正)6.重唱 Duett

 

※これは曲集の代表的な曲を紹介しているのでしょうが、どこをどう間違えばこうなるののでしょうか、まったく理解できません。そもそもop.156には「Fantasie」という作品はありません。それどころか8セットある作品番号が付けられた小曲集には「Fantasie」と題された小品は存在しません。ちなみにWebMasterとしては、6番よりもギルマンがしこたま演奏した5番の「Vision」の方が重要だと思います

via CV50.240、P67
via CV50.240、P67

参考)

12の性格的小品 op.156の初版表紙。どこにもFantasieなどという曲はありません


[5]

ミサ曲 変ホ長調 Missa op.109

 

まず欧文タイトルですがMissaでもいいと思いますよ、この程度は。できれば副題の「Cantus Missae」まであった方が…いや混同してるのでは…いやこれはこのままいいです。いややっぱりMesse in Esの方がいいです。でもね…

 

誤)◆ローマ教皇レオ8世に献呈

正)◆ローマ教皇レオ13世に献呈

 

これはだめです。まったくわかりません、レオ8世は10世紀に教皇に就任した人です。辞典編集者は「13」が「8」に見えたのでしょうか? 手書き原稿などが汚いと見間違うかもしれません。

[6]

5つの讃歌 5Hymnen op.140

代表的な曲として紹介しているのでしょう、2曲タイトルが上がっていますが…

 

誤)

2. 主の誓い Dextera Domini

5. 夕べの祈り Angelus suis

 

正)

2. 主の右手は Dextera Domini 

5. 神は御使いたちに命ぜられた Angelis suis 

 

これはひどいですね。2曲タイトルが取り上げられていますが、両方とも違います。めちゃくちゃです。ちなみに後者はスペルミスもしています。おそらく『6つの宗教的歌曲 op.157』の4番「Vater unser 主の祈り」と5番「Nachtgebet 夜の祈り」と混同しているのではないでしょうか?


(新)2023/05/18

[7] P.985

九重奏曲 変ホ長調 op.139

 

誤)(3楽章)

正)(4楽章)

 

ラインベルガーの室内楽で比較的演奏品同型開局です。なぜか「(3楽章)」と記されています。

この曲は全4楽章構成ですね。なぜ一つ減るのでしょうか? 理解が出来ません。参考までに右に全集29巻「ピアノが付かない室内楽」の目次ページを載せておきます

via 50.240 P.V
via 50.240 P.V


雑曲集
雑曲集

 

怪しいもの

P.986

誤?)雑曲集 Miszellaneen [独]

正?)雑曲集 Miscellaneen

 

これ、曲集の原題は「Miscellaneen」なのですが、[独]と書かれていますので、ドイツ語での表記なんでしょうか? 手元の英和辞典で「Miscellaneen」は掲載されていますが、独和辞典では「Miszellaneen」という単語は見受けられないのですけど。どちらにしてもこの曲集の上にあるop.162モノローグ「Monologe」とop.167瞑想曲「Meditationen」は原題の独語タイトルのままでしかも[独]とは書かれていませんので、親切で独語(?)したのでしょうか? なんにしても無駄なことだと思います。原題通り「Mscellaneen」のままがいいでしょう。

via CV50.240、P195
via CV50.240、P195

参考)

雑曲集 op.174の初版表紙。スペルはもともと「Miscellaneen」である



こういった間違いは本当迷惑なんですよね。一般の人なんか辞典のほうを信用しちゃうんですよ。こちとら素人なもんで鼻であしらわれちゃうんですよね。あと三省堂に直訴したほうがいいのでしょうか? で、第4版がいつ作られるのはわかりませんが、いずれ反映してもらうということで。