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12 Fughetten strengen Stils op.123a & b

12曲の厳格な様式によるフーゲッテン 作品123a & b


op.123a

  1. Maestoso Es-Dur
  2. Andante c-moll
  3. Andanate C-Dur (BACH)
  4. Moderato f-moll
  5. Antante molto F-Dur
  6. Andantino E-Dur
  7. Andante b-moll
  8. Moderato g-moll
  9. Con moto D-Dur
  10. Con moto fis-moll
  11. Antante molto B-Dur (FesCA)
  12. Allegro maestoso G-Dur (GADE)

op.123b

  1. Com moto d-moll
  2. Andantino Fis-Dur
  3. Andante Des-Dur
  4. Animato cis-moll
  5. Andante es-moll
  6. Com moto As-Dur
  7. Andante e-moll
  8. Maestoso A-Dur
  9. Com moto gis-moll
  10. Com moto a-moll
  11. Andantino H-Dur
  12. Tempo moderato h-moll

 ラインベルガーの作品番号(opus)は本人が管理していたので、基本的に一部の例外を除いて作品の完成・出版順に番号が振られていると思ってよい。『ピアノ三重奏曲 B 作品120』が1880年。『大ピアノソナタ ハ短調 作品120』が1881年。無伴奏混声合唱曲集『森の花々 作品124』が1881年。その間の全24曲になる『12曲の厳格な厳格な様式による フーゲッテン 作品123』aとb(以下「フーゲッテン」)は、オルガンソナタ8番作品132とオルガン協奏曲 1番 ヘ長調 作品137の間、1883年4月16日から1884年1月9日の間に作曲した。時期的に例外に該当するので、なぜこのように作曲時期と作品番号がずれたのかをまず説明する。


op.123a 3番、BACHの名前によるフーゲッテンの清書。当初は7番に配置されていたことがうかがえる。via BSB Mus.Ms. 4594 p.10
op.123a 3番、BACHの名前によるフーゲッテンの清書。当初は7番に配置されていたことがうかがえる。via BSB Mus.Ms. 4594 p.10

 1881年1月から9月にかけて、ラインベルガーは諸聖徒宮廷教会の任務のため、アドヴェント(待降節)から5月までの期間のための宮廷教会で使用する11曲のラテン語モテットを作曲した。これにすでに作曲・演奏をしていたもう1曲のモテットを含めて「Aus dem Kirchenjahr 礼拝の年から」と題し、全12曲の曲集していったんまとめた。「12曲の讃歌、昇階唱そして奉献唱(無伴奏) 教会とコンサートのための」と写譜屋によって書かれた直筆原稿写しの表紙には、作品番号「op.123」の割り当てられていたことが確認できる。しかしこの曲集は出版されることはなかった。その理由はまったくわからない。作曲家自身もしくは出版社が曲集としては大きすぎると判断してのではないだろうか。ただし、12曲のモテットは後に『作品133(1883出版以下同)』、『作品134(1883)』、『作品140(1885)』、『作品163(1890)』として一曲をペンディングし、分割・大改訂を施されてそれぞれの時期に出版されることになる。(これらの曲集については別項を参照してください)

op.123a、11番 FEsCAの音階によるフーゲッテン。via Carus 50.123/10 p.24
op.123a、11番 FEsCAの音階によるフーゲッテン。via Carus 50.123/10 p.24

 ラインベルガーは保留にしてた『作品123』を新しいモテット用にと構想していたが、それはかなわなかった。『作品133』を出した出版社のフォアベルクはすでに無伴奏男声合唱曲集『Aus Westfalen ウェストファーレンから 作品130(1882年作曲・出版)』を刊行したばかりだったため、番号が古くなってしまうの嫌ったのではないかと言われる。『作品123』が空き番になってしまったため、全24曲の「フーゲッテン」にその番号を割り当てた。出版はライプツィッヒのKahnt Nachfolgerから1884年に行われている。

op.123a、11番GADEの音階によるフーゲッテン。via Carus 50.123/10 p.26
op.123a、11番GADEの音階によるフーゲッテン。via Carus 50.123/10 p.26

 ラインベルガーは8曲のオルガンソナタを書いた後、初めて自由なオルガン作品の作曲を開始した。教育用に作成した『Zehn Trio op.49 10曲のトリオ 作品49』は別として、この分野の活動の開始点となる。

 

 全24曲の「フーゲッテン」はa12曲とb12曲とそれぞれに編集されている。マーチン・ウェイヤーによれば、1883年4月16日から翌1884年1月9日にと時間をかけて作曲されたと述べているが、スケッチ(BSB Mus.ms 4739b-3, p.101)を確認すると、4月14日に6番と1番を、4月9日に9番を手が手いることがわかる。なおaの清書には日付は書かれておらず、bの清書完了の日付は1884年1月10日である。なおaの終わりの2曲、11番と12番の清書は現存していない。

 

 aには3人の人物の名前から主題が取られた曲が3曲含まれている。まず、3番でヨハン・セバスチャン・バッハ。多くの作曲家がBACHの主題で作品を作っているが、ラインベルガーはこのフーゲッテンが唯一の作品である。11番のFEsCAは19世紀前半の音楽家家族の名前から取られている。12番のGADEはデンマークの作曲家でコペンハーゲン音楽協会の指揮者Neils wilhelm Gade (1817-1890) からとられている。彼には1878年6月に作曲した演奏会用序曲『Demetrius op.110 デメトリウス 作品110』を献呈している。

 

 マーティン・ウェイヤーは「教会での礼拝前後のボランタリー、演奏会でとFughettenは高いレベルで実用的な音楽」であり「はオルガン教育のための素材として、特に試験問題にとても適している」と述べている。

 

 あと思うんだけど、結局フーゲッテン Fugettenって、単数形なら Fugette フーゲッテかな、結局フーガとどう違うの? 小フーガ?

2019/Jun/16