瞑想 作品167

Meditationen. Zwölf Orgelvorträge op.167

参照される方々へ。弊サイトのデータをもとに解説を書かれる場合は出典として弊サイト名をお記し下さい。


個別の清書の完成日

1891年 

  1. Entrata 12/14
  2. Agitato 12/18
  3. Canzonetta 11/6
  4. (Andantino) ?
  5. Preludio 11/10
  6. Aria 12/5
  7. Intermezzo 12/28
  8. (Tempo di marcia) 11/18
  9. Tema variato 12/25
  10. Passacaglia 11/1
  11. Fugato 12/31
  12. Finale 11/30
Tempo di marcia 原曲/ via BSB Mus. ms. 4637-1
Tempo di marcia 原曲/ via BSB Mus. ms. 4637-1
ピアノ連弾4手Marsch / via BSB Mus. ms. 4637-3
ピアノ連弾4手Marsch / via BSB Mus. ms. 4637-3
管弦楽版/ via BSB Mus. ms. 4637-3
管弦楽版/ via BSB Mus. ms. 4637-3

 全12曲のオルガン曲集『瞑想 12曲の独演会』作品167は1891年11月から12月にかけて作曲された。10曲目の配置されたPassacagliaを11月1日に書き終わった後、12月31日に11曲目に配置されたFugatoにて完成させた。出版はライプツィッヒのフォアベルクから刊行された。

 

 ラインベルガーは全部で8チクルスのオルガン小曲集を出版したが、この曲集に収録した作品は他の曲集と少し扱いが違っていた。彼はほとんどのオルガンソナタではピアノ連弾4手用に編曲を行いほど同時に出版していたが、小曲集ではピアノ用には編曲は行っていない...のだが、8曲目「Tempo di marcia」(この曲は編曲に際し題名を単に「Marsch 行進曲」と改められた)、7曲目の「Intermezzo」とそして9曲目「Thema variato」の3曲のみを抽出し、ピアノ連弾4手用に編曲を行っている。しかも「Marsch」はオルガン原曲の「Tempo di marcia」原曲を完成(11月18日)させた直後、11月22日に編曲されている。通常オルガンソナタでの編曲では原曲終了後に作業が行われてたが、今回はオリジナル製作段階から構想されていたようである。ただし「Thema variato 」は翌(1892年1月8日と原曲全てを書き上げた後に、「Intermezzo」の編曲日時は不明だが「Thema variato 」と同日と考えるのが妥当であろう。

 

 また、8曲目「Tempo di marcia」は他の曲やチクルスとは扱いが違い、単独で管弦楽バージョンが1892年4月25日付で完成している。編曲に際しロ短調からハ短調に移調され、このバージョンも1892年またよく1893年にフォアベルクから刊行された。管弦楽版の出版に際し題名は『Elegischer Marsch 哀悼行進曲』と改められた(清書の段階では「Marsch」)。「哀悼」と「行進曲」を題名に併せ持つ作品はあまりないらしく、19世紀の器楽音楽、しばしばピアノで叙情的哀歌とベートーヴェンの葬送行進曲(たとえばエロイカ)以降のはやりで両方を融合したのではないかと言われている。(これ本当なのかな~、解説にはこう書かれているけど、いってる側からA.ギルマンには「Pièces dans différents styles 異なる形式による小品集」第17巻に収録された『Marce élégiaque』が1891年に発表されていると紹介されている。この辺はギルマンとラインベルガーが互いに刺激されあったのかもしれない)。

 

 ラインベルガーがピアノ連弾版及びオーケストラ版の編曲を行った理由はわかっていない。前者の場合であれば、オルガンソナタの場合のように作品の普及のためと思うのが一般的であろうが、後者はまったく理由がわからない。オルガンソナタ8番の終曲パッサカリのように自信があったのかもしれない。『Elegischer Marsch 哀悼行進曲』は1893年8月「音楽世界への信号」誌に好意的な批評が掲載されたが、作曲家が存命中に演奏された証拠はない。確実に演奏が行われたのは1902年4月27日にオーストリアのブレゲンツで開催されたラインベルガー没後のメモリアル演奏会で他の曲とともに演奏された記録ぐらいである。


2019/Jun/22