オルガンソナタ8番第一楽章

Fig. 1 via 50.238
Fig. 1 via 50.238
Fig. 2 via 50.132
Fig. 2 via 50.132
Fig. 3 via 50.238 (拡大してます)
Fig. 3 via 50.238 (拡大してます)
Fig. 4 via BSB Mus.ms. 4602
Fig. 4 via BSB Mus.ms. 4602
Fig. 5 First Edition via IMSLP
Fig. 5 First Edition via IMSLP

まずFig.1とFig.2を見てください。Fig.1はカールス社のラインベルガー批判校訂版全集の38巻(第8部オルガン作品1 50.238)127ページ(以下全集)、そしてFig.2は同巻より分冊された『オルガンソナタ8番 ホ短調 作品132』(50.132)の単行本で、どちらも第一楽章の1ページ目です。両方とも同じ版下を使用していますので、ノンブルとフッターの有無ぐらいしか違いはありません。ここで両者の楽章タイトルを見てみましょう。同一の版下ですので当然同じ「Plraeludium 前奏曲」となります。

 

ここで、全集の目次ページであるFig.3の該当箇所をを見てみましょう.......Fuga・Intermezzo・Scherzoso・Passacaglia......「Plraeludium」ではなく「Fuge」.....

( ゚д゚) ポカーン・・・

 

(つд⊂)ゴシゴシ

 

(;゚д゚) ・・・

 

(つд⊂)ゴシゴシゴシ

  _, ._

(;゚ Д゚) …!?

 

これ間違ってね? (´д`;)

 

それではさらにラインベルガーの直筆原稿(Fig.4)を見てみましょう。あれれ~、「Fuge」って書いてるぞ~~。さらにIMSLPにアップロードされています、Forberg社から発行された初版の該当箇所(Fig.5)を見てみましょう。やはり「Fuge」です。ソナタ8番の第一楽章は、導入部とフーガ(17小節節目)から構成されています。大体わかりましたね、全集とそのコピーの単行本(批判校訂版)は楽章題名を間違えているのです。

 

何故このような間違いが起こってしまったのでしょうか? Fig.3の他の作品の楽章タイトルを見てみましょう。ソナタ6-7番、9番、10番(これはPlraeludium und Finaleですが)どれも「Plraeludium」です、おそらく編集の過程で混同されてしまったのでしょう。

 

ちなみにラインベルガーの同曲を出版しているAmadeus社版では「Fuge」ですが、Butz社版は「PRÄLUDIUM UND FUGE」となっています。えっ?(゜Д゜)...。もうぐだぐだです。冒頭部は16小節しかありませんから、前奏曲というには大げさでしょう。もしこの楽章が純粋なフーガの楽章ではなく冒頭16小節も考慮するなら、「イントロダクション(導入)とフーガ」と表記するのが妥当なのではないでしょうか?実は批判校訂版、Amadeus社版そしてButz社版はすべて、初版のForberg社を版下にしてまして、細部を修正している三つ子何ですけどね(これは強弱記号やスラーの形状からわかります。Q資料のようなもんですね)。

さらにちなみに独自校訂で、その扱いはちょっと慎重に扱わなければならないハーヴェイ・グレイス版(Novello)では、「INTRODUCTION AND FUGE」となっていて、多分これが一番実情に近いでしょう。

 

いずれにしても、全集及び単行暮雲での表記は明らかに間違っています。「Fuge」と表記することが正解です。