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室内楽に関しまして


 一般的にラインベルガーの室内楽は知られていない。彼の作品で演奏されるものは宗教曲かオルガン曲。強いて言えば、Nonet in Es, op.139(九重奏曲)とKlaviersextett in F, op.191b(六重奏曲)、そしてホルンソナタ op.178ぐらいのものである。ただし作品番号が与えられた作品はTHOROFONレーベルより(正確にはまとまっていないのだが)室内楽全集とし録音がまとめられている。またいくつかの作品は単品でリリースされており、全容がなんとなく観察できる。

 

 しかし室内楽に限った話ではないが、やはりラインベルガーは無名に近い作曲家であり、数多の有名どころ作曲家の作品に比べれば、余りに目立たないものばかり。確認したわけではないが、演奏家は知らないからやらない。有名どころをこなすので精いっぱい。そもそも一般大衆は有名どころしか知らないし、珍しいレパートリーはそもそも人気がない。演奏されないから全く知らないといった、負のスパイラルに陥っているように見受けられる。


 ラインベルガーという人は、習作期の時代においてはオールラウンドの作曲家を目指していたことがうかがえ、ピアノ、室内楽、管弦楽曲、歌曲、歌劇と多くの習作を書いている。その中で10才の頃から師事したフェルトキルヒのフィリップ・シュムツァーはチェリストであったので、まじかに室内楽を身近に接している。またミュンヘン音楽院を卒業した後にラッハナー師事した頃から、習作として弦楽四重奏曲を12曲書いていたり、ラッハナー経由でシューベルトの影響があったのだろう、1861年に『八重奏曲 Oktett in Es JWV132』を書いたりもし、後に『九重奏曲 Es op.139』に発展される)。作品番号をつけた室内楽の数は少ないが、生涯にわたって書き続けることになる。その作品は真新しいことはしていないだろうけれど、練りに練った作品群。それでは少しだけ彼の室内楽の話をしたいと思う。

 

 彼の室内楽作品は一部を除き、1874年から84年位かけての10年間に集中していると思ってよい。このころは右手の疾患がひどく、鍵盤を弾くどころか鉛筆すら持てなかったつらい時期に当たる。言い換えれば、ピアノ・オルガンの奏者としての道をあきらめたころだと言っていい。そのような時期に室内楽を集中して書き上げたのは偶然ではない。